一ノ瀬俊也

そもそも旭日旗とは、どんな旗なのだろう? 「旭」は「朝日」のこと。旗は東の空から天に昇る朝日をデザインしている。 昔の日本の軍隊は、明治時代に旭日旗を国旗と並ぶ自らのシンボルとして採用した。陸軍は1870年に「陸軍御国旗」(のち軍旗)に制定。海軍も89年に「軍艦旗」と定めて、各軍艦に掲げた。 軍旗も軍艦旗も光線は16条(本)、軍艦旗は赤丸をやや旗竿側に寄せるなど、デザインがきちんと定められていた。軍旗は各歩兵・騎兵連隊に天皇から直接与えられたし、軍艦旗は「陛下の御影として敬仰する旗で軍艦の魂」(海軍中将・中里重次『国旗と軍艦旗』1940年)という扱いだった。軍は旭日旗を天皇の代理として神聖視したのだ。